教育機関がランサムウェアグループの標的になりやすい理由とは

サイバー犯罪

教育機関がランサムウェアグループの標的になりやすい理由は

教育機関がランサムウェア攻撃の標的になりやすい理由はいくつかあります。以下に主な理由を説明します。

  1. 財政的な脆弱性: 教育機関は、一般的に予算が限られている場合が多く、セキュリティに十分な予算を割くことが難しいことがあります。このため、セキュリティ対策が不十分な状態で運営されていることがあり、攻撃者にとっては容易な標的となります。
  2. 重要なデータの保有: 多くの教育機関は、生徒や教職員の個人情報や学術的なデータ、研究成果など、重要なデータを保有しています。このようなデータは、攻撃者にとって価値があり、ランサムウェア攻撃の際に身代金を要求されやすい対象となります。
  3. セキュリティ意識の低さ: 教育機関の一部では、情報セキュリティに対する十分な意識がない場合があります。従来、教育環境ではセキュリティよりもオープンな情報共有が重視されてきたため、セキュリティ対策が後回しにされることがあります。
  4. 多様なユーザーとデバイス: 教育機関は、多くの生徒、教職員、スタッフが異なるデバイスやネットワークからアクセスするため、セキュリティの管理が難しいことがあります。異なるセキュリティレベルのデバイスが使用されるため、攻撃者が入り込む隙間が増える可能性があります。
  5. アップデートの遅れ: 教育機関では、システムやソフトウェアのアップデートが適切に行われていないことがあります。これにより、既知の脆弱性が放置され、攻撃者がこれを悪用する機会が生まれます。
  6. ヒューマンエラー: ランサムウェア攻撃の多くは、社会工作術やフィッシングなどの手法を用いて、人間のエラーを利用して侵入します。教育機関内でセキュリティ意識が低く、従業員が偽のメールやリンクに踊らされることがあるため、攻撃が成功しやすくなります。

これらの理由から、教育機関はランサムウェア攻撃の標的とされやすい状況にあると言えます。

ランサムウェアによって教育機関が狙われていることを示す記事

教育機関はランサムウェア攻撃の標的とされやすい状況は、今に始まったことではなく、以前から沢山のインターネット上の記事があがっています。ここでは、その一部をご紹介します。

ソフォスの調査で、教育機関を狙ったランサムウェア 攻撃が増加していることが明らかに
ソフォスの調査で、教育機関を狙ったランサムウェア 攻撃が増加していることが明らかに | Sophos

被害事例とリサーチから見る教育機関を狙うサイバー攻撃の動向
被害事例とリサーチから見る教育機関を狙うサイバー攻撃の動向 | トレンドマイクロ (trendmicro.com)

“学校を襲うランサムウェア犯罪者集団”の非道な手口 教育機関ができることは?
“学校を襲うランサムウェア犯罪者集団”の非道な手口 教育機関ができることは?:教育機関に狙いを定めるランサムウェア【第5回】 – TechTargetジャパン 教育IT (itmedia.co.jp)

教育機関へサイバー攻撃拡大中、原因は「予算の制限」「人材不足」「古い機器」
教育機関へサイバー攻撃拡大中、原因は「予算の制限」「人材不足」「古い機器」 | TECH+(テックプラス) (mynavi.jp)

教育機関が取るべきセキュリティ対策とは?

出典元の記事である、Cyber Security Newsの記事「Are Educational Institutions Easy Victims of Ransomware Groups?」では、”すべての教育機関が従うべき 10 のセキュリティ慣行”が述べられていますので紹介します。

すべての教育機関で従うべき10のセキュリティ慣行(出典元記事の翻訳)

  1. セキュリティ構成を展開して、ブルート フォース攻撃を防止します。たとえば、より強力なパスワードポリシーを展開し、2要素認証を使用してエンドポイントを保護します。
  2. リリースされたパッチを最新の状態に保つことで、ソフトウェアとファームウェアの脆弱性を排除します。脆弱性が悪用された場合、重大なサイバー攻撃につながる可能性があるため、優先順位を付けてすぐに修正してください。
  3. ネットワーク内のすべてのアクティビティを監査および監視し、疑わしいインシデントを特定します。これは、ポート、ファイアウォール、BitLocker などをアクティブに監査することで実現できます。
  4. ネットワーク上で特定された古くてリスクの高いソフトウェアをアンインストールします。
  5. ネットワークへの安全でセキュアなアプリケーションのインストールを許可します。
  6. 内部からの攻撃を回避するには、ユーザーの特権管理とジャストインタイム アクセス制御を確立します。
  7. ブラウザ上の悪意のあるWeb拡張機能とWebアプリケーションをブロックして、ブラウザベースの攻撃を防ぎます。
  8. ネットワーク上の周辺機器を監視および管理して、データ漏洩を防ぎます。
  9. 定期的にデータをバックアップします。
  10. ハッシュベースの攻撃を検出するためのウイルス対策ソリューションを用意します。

これらの10のセキュリティプラクティスを実施することは、特にITセキュリティ専用のリソースが限られていることが多い学校環境では、少し難しい場合があります。

すべてのセキュリティソリューションで上記のすべてのプラクティスに従うことができるわけではなく、セキュリティを実現するために複数のソリューションを維持する必要がある可能性があり、学校や教育機関のIT管理者にとってはさらに困難になる可能性があります。

管理エンジン エンドポイントCentral は、セキュリティと管理のニーズに対応するワンストップ ソリューションです。この費用対効果の高いソリューションにより、統合エンドポイントセキュリティ機能を使用して、ネットワーク内のすべてのエンドポイントを維持および保護できます。エンドポイントセントラルには、次のような多数のセキュリティ機能が用意されています。

脅威と脆弱性の管理

  • 脆弱性を即座に検出して修復することで、統合された脅威と脆弱性の管理により、セキュリティ体制を改善します。
  • セキュリティポリシーを展開し、システムの設定ミスを軽減することで、セキュリティを強化します。
  • ネットワークを積極的に監査することで、リスクの高いソフトウェアを排除してデータ侵害を回避します。

パッチ管理

  • セキュリティパッチは、組織のネットワーク上で自動的にテストした後、ロールアウトしてエクスプロイトを阻止します。
  • 自動パッチ配布を実装して、ネットワーク全体にパッチを簡単に展開します。
  • 複数のプラットフォームにまたがるOSと850を超えるサードパーティアプリケーションにパッチを適用します。

周辺機器のセキュリティ

  • ネットワーク上の周辺機器の使用を管理および監査します。
  • ファイルのシャドウイングとファイルトレース、およびユーザーのロールベースの制御を有効にします。
  • ユーザーの要件に基づいてデバイスを許可、制限、または削除し、セキュリティを維持するためにデバイスの信頼できるリストを確立します。

アプリケーションのセキュリティ

  • ネットワーク上で実行されているすべてのアプリケーションを検出します。
  • ネットワーク全体で企業が承認したアプリケーションのみを許可し、生産性とセキュリティを強化します。
  • 内部からの攻撃を防ぐための特権管理を確立します。

ブラウザ管理

  • 企業ネットワークで使用されている複数のブラウザの全体像を把握します。
  • ネットワークから有害なプラグインを検出して削除することで、エンドユーザーに安全なブラウジングエクスペリエンスを実装します。
  • エンタープライズブラウザをロックダウンし、ブラウザ設定を強化し、悪意のあるWebアプリケーションを除外して、サイバー攻撃から安全を確保します。

データ損失防止

  • 事前定義されたテンプレートを使用して、データコンテナ化で機密データを検出および分類します。
  • データのアクセスと転送のための厳格なプロトコルを確立します。
  • 誤検知を迅速に修復して、生産性とセキュリティの両方を強化します。

ランサムウェア対策

  • ランサムウェア攻撃を正確に検出するための特許取得済みの機械学習ベースの動作分析。
  • 攻撃の根本原因を完全に把握しながら、インシデントに即座に対応し、将来の同様の攻撃を防止します。
  • Microsoft VSSを使用した特許取得済みの回復プロセスによるファイルのワンクリックロールバック。

警視庁サイバー警察局の推奨する被害防止対策と被害軽減策

出典元の記事にもあるように、なかなかすべての対策を取ることは、様々なリソースから考えても難しそうですね。

警視庁サイバー警察局では、もう少し的を絞って対策が記述されているため、こちらもご紹介します。

被害防止対策

電子メール等への警戒

VPN機器等のぜい弱性対策

ウイルス対策ソフト等の導入

認証情報の適切な管理

感染に備えた被害軽減対策

データのバックアップ等の取得

アクセス権等の権限の最小化

ネットワークの監視

いかがでしょうか。こちらの方がまだ取り掛かりやすいと感じられるかもしれませんね。

ランサムウェアに感染してしまったら・・・

ランサムウェアの被害に遭われた場合は、最寄りの警察署又は各都道府県警察の
サイバー犯罪相談窓口に通報してください。

出典元

Are Educational Institutions Easy Victims of Ransomware Groups?
Are Educational Institutions Easy Victims of Ransomware Groups? (cybersecuritynews.com)

ランサムウェア被害防止対策
ランサムウェア被害防止対策|警察庁Webサイト (npa.go.jp)

注意書き

本ブログでは、個人的な情報収集・学習を目的に元の記事を翻訳・要約して掲載していますが、記事内容の正確性について、当方は一切の責任を負いません。必ず出典元の情報をご確認の上、各自の責任にてご利用ください。

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